摂食障害を自力で治した話
※ 心の健康が良くない方、摂食障害が地雷の方、不快に思われる方は読まないでください。
※ 摂食障害は治療が必要な病気です。私が言うのもなんですが、摂食障害で悩んでいる人がいたら、私みたいに一人で苦しまずにまずは信頼できる人に相談してほしいと思います。家族や友人に言うのが難しければ、カウンセラーや電話相談窓口もあります。経験者として自分のタイミングがあるということもわかりますので、無理のない範囲で。
摂食障害の主な症状は際限なく食べ続けてしまう「過食症」と食べることを拒む「拒食症」の2つがある。私は学生時代、繰り返し拒食症になっていた。痩せすぎていたため運動禁止とドクターストップがかかったことはあったけど、怖かったので正式な診断は受けなかった。でも、明らかに食事との付き合い方が異常だった。
ネットの自己診断チェックリストがほぼ全て自分に当てはまっていた。
拒食症になった原因
摂食障害は若い女性がなりやすいとされていて、家庭や学校/職場の人間関係、または勉強ストレスが原因となることが多い。ただし私の場合、明確な原因はなかった。悪い環境で育ったわけでもなく、特に真面目でストレスを抱え込むような性格でもない。
拒食症の症状
1日500カロリーで生活して、何回も体重を測ってた。初期は楽しくて、周りからは痩せただとか垢ぬけたとか褒められるのが嬉しかった。その時はまだ自分が悪いことをしているとか、病気にかかっているなんて思っていなかった。
次第に自分は病気かもと自覚が湧いてきて、楽しさが恥ずかしさに変わった。友達の家でご飯をいただいて、その子のお母さんにもっと食べたほうがいいよって言われた時はただ情けなくて涙がでそうだった。
私はトイレで吐けないタイプ。でもとにかく、必要最低限のカロリーで生きていくことが日々の課題だった。そして、頭の中は常にカロリーのことでいっぱい。勉強や仕事もほどほどにこなして、友達もいましたが、人生において最も優先していたのは痩せることだった。
栄養をちゃんと摂れていなかったため、ひどかった時はベッドから落ちても数時間起き上がれないことがあった。美容院で終わってから急に立ち上がれず気絶したこともある。
スマホで拒食症のブログを読みあさったり、掲示板に投稿したり、ツイッターやインスタで同じ摂食障害の人と繋がってDMを送り合ったりしてた。摂食障害のオンラインコミュニティは温かくて、お互いを支え合う感じのやり取りをしていました。私の経験上、誹謗中傷の内容は一度も見なかった。私と同じように、リアルでは言えないからSNSで悩み事やストレスを吐き出していた人が多かったのではないかと思う。もはや拒食症が私の唯一の趣味になっていて、拒食症の漫画や映画なども探しては観てた。
病院は怖すぎたが、大学のカウンセラーに2回相談しに行った。でもなんとなく合わないと思ってしまい、すぐに行くのをやめてしまった。
体重30キロ前半を目標としていたのに、達成できず悔しかった。暫く38~39キロあたりで生き忍いで、40キロを超えそうになれば精神的に気持ち悪かった。今は思い返すとゾッとする。
克服を決意した理由
ちゃんと治そうと私を決意させた、何か決定的な出来事が起きたわけではなかった。
でもこれから社会人になるのに、このままだとまずいと漠然な思いはあった。
きっかけは意外にも彼氏との出会いだった。それまで一人で抱え込んでいたことを全部、彼氏に打ち明けた。ある日、夕方から会って飲みに行った。乾杯して飲み始めた時「今日、何も食べてない」と言ってみた。なぜかその時だけ、嫌われたらどうしようとか思わなかった。
それから積極的に一緒に食事をするようになり、見守ってもらっている感じだった。そんな彼氏の優しさがあったからこそ、今回は絶対に克服しようと思った。彼氏にそれ以上迷惑をかけたくなかったし、ふつうのカップルみたいに食事を心から楽しめるようになりたかった。
とはいえ、もう何年間も続いていた拒食を急にやめるのは無理。私にとっては拒食が普通で、健康的に食べることを意識して慣れていく必要があった。食事と向き合うために色々試行錯誤した。実家暮らしだったので、親に私の分をお皿に盛ってもらって「一人前の量」を体に叩き込むようにしていた。一人の時も食事を抜かないようにして、泣きながらでも食べていた。
正直、決意したはずだったのに何度も失敗したり諦めたくなった。拒食症の人は食べ物に関するルールを作っていることが多い。例えば、夜は白米を抜くとか、朝起きて体重が減ってなかったらその日はお昼まで食べないとか。私は卵は1日1個までといったルールがあって、それを破ることが許せなかった。ある日、深夜に辛ラーメンを作っていたら、友達が勝手に私のほうに卵を2個入れられて、すごくくだらないことだと分かりつつ、心の中で泣き狂った。
その後の経過
「太りたくないからこのままがいい」なんて思ったこともあったけど、今になって治せてよかったと心から思う。自分の若かった時代を無駄にしてしまったとさえ思うけど、過去は変えられない。
元々小柄なので、治した後も一人前の量を食べきれないことはある。食べ過ぎた翌日に調整したり、ダイエットをすることもある。でも次第に「痩せているのが正解でそれが正義」という価値観はなくなり、自分のお腹いっぱいの感覚に頼って食事をすることができるようになった。今では摂食障害の症状が出なくなった。