コトラーの『マーケティング5.0』を読んでみた話
※ 本投稿はフィリップ・コトラーによる『マーケティング5.0』の個人的な感想文となります。要約というよりは、個人的に興味深いと感じた部分について深堀りします。
マーケティング5.0とは
マーケティング5.0は、マーケティング3.0の人間中心のアプローチと、マーケティング4.0のテクノロジー主導のアプローチの両方をベースとしている『マーケティング3.0』と『マーケティング4.0』を読んだことがある方なら、これまでのテーマはお馴染みでしょう。
さて、マーケティング5.0の主なテーマは、デジタル時代、特にAIイノベーション、つまりデジタルマーケティングの予測モデル、最適化、自動化についてである。
企業がサービスのDXを検討する際には、新しいテクノロジーへのアクセスと導入意欲の両面から、顧客基盤の準備が整っているかどうかを見極める必要がある。顧客ベースが躊躇している可能性がある場合、企業はインセンティブの利用を検討することができる。積極的なインセンティブとしては、キャッシュバックや割引などの直接的な利益が考えられる。また、追加コストや待ち時間、オフライン版を完全に利用できなくするなどのネガティブなインセンティブも効果的かもしれない。
心理学とテクノロジーの交差
『マーケティング5.0』の主題は、マーケティングのためのAIについてだが、私の場合、最新のAIトレンドには詳しい方だからか、特に斬新的な内容とは感じなかった。本書では、ジェネレーションギャップやマーケティング心理学とテクノロジーの接点など、他にもいくつかのテーマが論じられているので、私にとってはそれらの方がが興味深かった。
人間は社交的な生き物であり、自分自身の人生を歩みがら他人の人生の物語に関係している。複数のコミュニティに所属し、他人と自分を比較したり他人を真似るのは自然なこと。「人間は周り5人の平均になる」という、アメリカの起業家であるジム・ローン(Jim Rohn)の名言を思い出す。
近年はSNSが普及していることにより、もっとエクサイティングな人生を送り、面白い成果を出すための無意識の動機となっているのかもしれない。
人間には自身の環境をコントロールしたいという自然な欲求があり、コントロールできていると感じることで幸福感を得る。ビジネスへの応用としては、すでにテクノロジーを使って最高の顧客体験を提供しているという自信があったとしても、どこかに選択の要素を導入することを検討しても良いかもしれない。
また、ほとんどの人はAIの仕組みを十分に理解していない。人間は無意識のうちに、AIをコントロールできないものと認識していて、新しいテクノロジーを採用する心理的障壁を乗り越えなければならない。当たり前だが、命に関わる自動運転や医療AIに対しては特にそうなる。『百匹目の猿現象』により、我々はおそらく最終的にこれらの技術を採用するだろうが、完全な導入までには、こういった心理的障壁による遅れが出て、数十年かかるかもしれない。
マーケティング5.0によると、デジタル広告に個人データが使われることについて、人々がどう考えるかは分かれている。デジタル活動がよりパーソナライズされるため、それをメリットと考える人もいれば、個人データの取り扱いについて不安に思う人もいる。数年前のアップルのiOS 14アップデートに対する、両極端な反響を思い出す。